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新たな食体験を創出し、特別なひとときを届ける。 宴会場を舞台にした「食」のイベントを開催
今回は、夏真っ盛りの8月初旬に上質な食の体験を追求する『美食の饗宴』を開催。総料理長 柏木健一と、フランス料理界で傑出した存在である𠮷野建シェフをゲストに迎え、それぞれが腕を振るうコラボレーション企画です。お互いが考えた料理が交差し、ストーリーのように広がる宴に、110名ものお客様にご参加をいただきました。ヴァイオリンとピアノが奏でられる会場は、まさにフランス料理の真髄が存分に味わえるひとときに。二人のシェフ渾身のスペシャルな料理と会場の様子をお届けします。
𠮷野建 Profile1979年に渡仏。当時ジョエル・ロブションが率いるパリ『ジャマン』をはじめ、数々のフランス料理店で修行し、フランス・日本両国のミシュランガイドで星を獲得。1997年パリにレストラン『ステラ・マリス』を開業。2007年スイス・ダボス会議にて料理を担当。2010年フランス政府より農事功労賞シュヴァリエを受賞。2011年発表のフランスにおける国家最優秀職人賞の審査員をアジア人として初めて務めた。2013年、毎年ベルギーにて行われる国際味覚審査機構による優秀味覚賞の審査員を務めるなど、料理界において数々に功績を残す。
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枠を超えて料理を楽しむ、ホテルグランヴィア京都の「食」イベント
どのイベントも料理とドリンクの相性を考えたペアリングを大切にしているのは、料理だけで楽しむときとはまた違った新たな美味しさを味わっていただきたいという思いから。提供するドリンクはワインだけでなく、シャンパン、日本酒、ビールなど、イベントによってさまざまです。
イベントに向けて試食会や試飲会を実施することもあり、 試食は入念に味をチェックするという目的もありますが、料理に合わせるドリンクを選定するためでもあります。シェフの他、館内のソムリエや唎酒師が参加し、料理とドリンクの味わいが響き合い、一体感が生まれるよう、選定にはかなりの時間を要しています。今回の『美食の饗宴』でも、二人のシェフの食の饗宴をさらに盛り上げるためにソムリエが集まり、料理に合わせるペアリングドリンクを選定しました。
異なる道を辿ってきた二人のシェフによるコラボレーションの行方
「𠮷野シェフとは料理人としての歩み方が随分異なるんです。イベントでは、異なる道を辿ってきた二人だからこそ提供できる、緩急のあるコース料理をお楽しみいただけたらと思っています。最初に𠮷野シェフのことを知ったのは、料理人になりたいといろいろな書物を読み漁り、独学で勉強をしていた頃のこと。たまたま手にした𠮷野シェフの本に魅了され読み耽りました。ジビエのレシピがふんだんに掲載された1冊や、魚介だけの1冊など、どれも専門性が高くすごく新鮮だったんです。今回も料理についてさまざまな対話ができるのが楽しくて。ホテルのスタッフにとってもいい刺激になると思いました」と、師のようにあおぐ𠮷野シェフとの共演に胸を膨らませます。
「柏木さんのことは、ホテルグランヴィア広島時代や大阪時代の活躍も知っているし、パテ・アンクルート(伝統的なフランス料理の一種)をはじめ、彼のつくるフランス料理には目を見張るものがあります。また、ホテルグランヴィア京都は食に対してこだわりを持ち、とてもレベルが高い。柏木さんのことを信頼しているので心配はまったくなく、安心して料理に取り組めるという気持ちで、楽しみしかないですね。食のイベントに力を入れていることも、前へ進んでいくぞという姿勢が感じられて素晴らしい。やっぱり今の時代、前へ進むことが大事。僕はいつも前進あるのみ! 引くことなんかできないタイプの人間ですから」
真夏の晩餐会のような会場のロングテーブルで繰り広げられるのは、𠮷野シェフと総料理長 柏木の料理がかわるがわる登場する全8品のコース料理です。
シェフがソムリエと共に試飲会で選び抜いたワインは、最高なマリアージュが楽しめるように、開場前にもう一度料理の味わいを最終確認。今回は、合計7種類のワインを料理と一緒に提供しました。
「例えばメインディッシュには、オマールブルーに黒文字とバニラで香り付けしたひと皿を。黒文字の柑橘の香りやバニラの甘い香りを用いて、京都の森をイメージしました。京都は木造建築がたくさんあるので、木々を意識した風合いを感じてもらえたら」と、香りを活かすことで食べながら、お客様同士の話題になるメニューのアイデアを巡らせたと語ります。
勝負をしにフランスへ。シェフ人生を物語るメニュー
「フランスで星を獲得しようと渡仏し、自分の人生の半分ぐらいは、その夢に費やしてきたように思います。お客様のために、明日のために、生きるために。そういういろいろな思いをもって、自分の全精力を注ぎ込んで料理に取り組んできました。日本人がフランス料理をつくれるのか?と馬鹿にされたことも、もちろんありました。フランスで生き残るためには、ただ働くだけではダメ。新しい料理をつくり上げることが、生き残る道なんですね。そうやって伝統の中に新しさをどう取り入れていくかを常に考えていたと思います。今回お出しするメニューの『仔ウサギのトゥールト サリエットの香り』は、エル・ブジやロブションが絶賛してくれた思い入れのある料理です。トゥールトは伝統的なフランス料理ですが、僕はより無駄を省き洗練されたひと皿を目指したことで、多くの方が気に入ってくれたのだと思います」
料理の先にある思いや歴史をいただくような、贅沢な食の饗宴。その特別なひとときのために、たくさんのお客様が集いました。
夏の忘れられない思い出に。五感を研ぎ澄ませ楽しむフルコース
テーブルの上に飾られたブーケとカトラリーが、エレガントな雰囲気を演出。
本日のメニューブックは一つ一つ手書きで書いた二人のシェフのサイン入り。
会場には特設の料理台が設置され、一部の料理はこちらで仕上げを。シェフたちが料理する姿を間近に感じることができ、ライブ感も満載。今から始まる一夜限りの饗宴に期待が高まり、お客様も待ちきれない様子です。
アペリティフに用意された、バイ貝のディルマヨネーズ和え。
ワールドツアーなど国際的な演奏活動をされている「エリカ」さんの生演奏でクラシックの名曲が奏でられると、会場は一層上質な空間に。
「長年レストランをやってきて思うのは、シェフだけでなくサービススタッフも一心同体になって取り組む、基本的なことが一番大事だということ。今回のイベントでは、シェフもサービススタッフも、企画担当者も、みんながイベントの成功という一つのゴールを目指して取り組んでいる空気を感じます」と𠮷野シェフ。
コースは、𠮷野シェフによるビーツを使ったロシアのスープをエスプーマでふんわりと仕立てた一品、「ボルシチの冷製」からスタート。続いて、総料理長 柏木による「雲丹バターサンド・鮑とカフィアライム」はシャパンと共に。ここからは、何度も試飲を重ねた選りすぐりのワインと料理のペアリングでお客様に新しい味覚をお届けします。
𠮷野シェフによる3品目の「夏野菜のガスパチョ 季節の魚介と共に」。ペアリングは、桃のような香りを感じる白ワインの「プイィ・フュメ ドメーヌ・タボルデ 2023」を。
西洋野菜フヌイユのピューレとオマールの殻でつくったジュをお皿へ注ぐ総料理長 柏木。
会場では、新しい料理がサーブされるたびに、そのおいしさに心の緊張が解けていくような雰囲気が広がります。それぞれが思考を巡らせたひと皿を味わうことで、その喜びを近くの人と共有したくなる、そんな料理の持つ力を感じるひとときに。
最後は「キャビアとフロマージュブランのアイスクリーム」、「ブロシェット・ババ・オゥ・ラム」と、スイーツを嗜み、イベントは終わりへと近づいていきます。
お客様にとって新たな食体験をご提供できるイベントを目指して
お客様との会話を楽しむ総料理長 柏木。
「僕にとってフランス料理は、文化だと思っています。やはり伝統は大切で、それを守りながらいかにモダンな料理へと仕上げていくか。そうすることで、この文化を伝えていきたい。幅広い世代の人へ、その本質を伝えることが私たちの役目なのではと思っています」と、𠮷野シェフ。
「料理を始めたばかりの頃、フランス料理は憧れの料理でした。必死に勉強し、40歳前にやっとフランス研修で本場のレストランで働く機会があり、自分の料理に納得できるようになりました。今でも変わらずフランス料理は憧れの料理です。だからこそ伝統をきちんと守って、そこへ自分が良いと思える視点を入れていければと思います」と総料理長 柏木。
『美食の饗宴』には館内のあらゆる調理スタッフが携わり、今回の料理を提供することができました。𠮷野シェフと共に厨房に立つ経験は、スタッフたちにとって唯一無二の時間になりました。
今後もホテルの枠を飛び越えた、特別な「食」の体験を提供するイベントを開催し、これまで味わったことのない驚きと感動をお届けしますので、ぜひともご期待ください。