ビュー&ダイニング コトシエール

フレンチの口福感とイタリアンの軽やかさという、ふたつの魅力を併せ持つ「京キュイジーヌ」が楽しめるビュー&ダイニング『コトシエール』をはじめ、鉄板焼や日本料理、バイキングで地産地消や生産者とのつながりを大切にした料理を提供する[ホテルグランヴィア京都]。お客様への思いを込めてお出しする一皿一皿は、こだわりの食材とその味わいを引き出す調理法の結晶です。そんな私たちの食材へ向き合う姿勢やお客様への思いをお届けする機会の一つとして、『京の食文化ミュージアム・あじわい館』主催の料理教室に、[ホテルグランヴィア京都]の総料理長 柏木健一が登壇しました。今回は、定員が満席となるご予約をいただき大盛況となった、アットホームな料理教室の模様をお届けします。
 

京都市中央市場に併設された『京の食文化ミュージアム・あじわい館』は、「見る」「つくる」「味わう」をテーマに京の食文化について学べるミュージアムです。特に、市場の仲卸業者がおすすめする「とっておきの旬の店」に掲載された名店の料理人による料理教室は、リピーターの方が多い人気企画。以前も[ホテルグランヴィア京都]のシェフが登壇していた中、コロナ禍を挟んで6年ぶりの開催となりました。今回のテーマは、「フランス料理とワインのペアリング」。紹介したメニューは前菜の「九条ねぎと帆立貝のてっぱい風タブレサラダ」と、メイン料理の「鶏肉のフリカッセ(フランス風鶏肉のクリーム煮)」。2品それぞれにぴったりのワインを味わうことができる、実際に食べて飲んで楽しんでいただく内容です。
 
  • 京都市中央市場から仕入れた新鮮野菜たち。九条ねぎは青い部分が多く、その美しい色味を生かした一皿に仕上げます。
  • 『あじわい館』のスタッフの皆さまと綿密に打ち合わせ。スムーズな進行は、チーム連携と事前のしたごしらえが重要です。

「九条ねぎは京都産が格別においしいので、京都の食材や食文化の魅力を伝えられれば」と、意気込む総料理長 柏木。京都市中央市場から仕入れる九条ねぎは、やわらかな葉の内部にぬめりが多く、甘さと香りが強いのが特徴。普段からさまざまな土地へ足を運び、食材を知り尽くしているが故、産地へのこだわりは揺るぎないものです。

「タブレサラダ」はフランス料理の隠れた定番メニューで、世界最小のパスタと呼ばれているクスクスを使ったサラダのこと。「てっぱい」は酢味噌で魚の切り身や野菜を和えたもので、京都ではわけぎ(ネギの一種)と貝類を和えることが多く、京都のおばんざいとして親しみのある郷土料理です。「てっぱいをフレンチ風サラダにし、京都の味わいを感じてもらいたい」と総料理長 柏木。「フリカッセはクリームシチューの原型のような料理。ご自宅でも再現しやすいメニューです」と、日々の食卓にも応用しやすい構成を意識しました。
 
使用する調味料の中には、ホテルでも用いる千鳥酢がスタンバイ。京都の村山造酢株式会社がつくる、まろやかな酸味が特徴です。
この日は総料理長 柏木をはじめ、[ホテルグランヴィア京都]の宴会料理長 河本、『コトシエール』の副主任 伊藤の3人体制でお出迎え。時間となり、まずは一連の工程を総料理長 柏木が手解きするデモンストレーションからスタートします。前方に据えられた大きなビジョンに調理する手元が映し出され、細かな手順をもらさず確認することができます。
 
  • 普段見る機会が少ないシェフたちの調理中の手さばきを大画面に投影。貴重な瞬間に参加者の皆さまも真剣な眼差しでした。
  • デモンストレーション中はポイントをメモしながら後々の調理に備えます。
「フリカッセに使うローリエは、軽く火で炙ることで甘い香りに変化します。いろんなスパイスでもお試しください。コクが倍増しますよ」と、調理工程のみならず、ちょっとしたひと手間が料理を格段においしくすることを伝える総料理長 柏木。他にも、料理上手になるためのコツについても話が及び「煮込みの途中や最後など、ところどころで味見をすることです。ただし基本は3回まで。4回目は濃くなりやすく、5回目になると“もう分からない…”となるので(笑)。どうしても重ねて味見をしたい場合は、一度うがいをしてお口の中をリセットしてください」と、味覚を研ぎ澄ますヒントを伝授。これをマスターすることで、味付けの迷宮入りから卒業できそうです。
「フランス料理の基本の味付けは塩と胡椒。他はクリームやバターなどの油脂のみで、塩が最も決め手になるんです」と総料理長 柏木。
デモンストレーション中に、質問コーナーへ。「塩をふる工程で何か確認されているようですが、どこに気をつければよいですか?」という参加者からの質問に、「よく見てくださって、ありがとうございます。フレンチの料理人は、基本として塩をふることをすごく練習します。例えば肉だと全体に行きわたらせつつ、ぶ厚い箇所には多めにふったり。ひとつまみの量も一定になるようにしています」と、ほほ笑みながら、素材と向き合う大事な工程であることを伝えました。

 

いよいよ調理工程がスタートし、班ごとに分けられた調理台へ移動。参加者の皆さまがテキパキと作業を行なっていきます。総料理長 柏木たちも各調理台を巡り、それぞれの工程を見守りながらアドバイスします。
 

目をみながら質問に答える総料理長 柏木。参加者の皆さまの料理への熱意が伝わってきます。


「ネギをカットする際は、大きめがおすすめです。中のとろみ(ネギの旨みと甘みが凝縮されたゼリー上の物質)が残るように使うとおいしいですよ。」
「落としぶたは、クッキングシートを折って切れば、簡単に作ることができます。アルミホイルはホイルの“金っけ”が食材に出てしまうので、クッキングシートがいいですね。」
「塩の量が多いと感じるかもしれませんが、濃厚になりワインとよく合います。また、今日の盛り付けは平皿。深皿だと薄味でもよいですが、平皿に盛り付ける場合は濃いめを意識してください。」
セルクル型を使って素材をレイヤードするタブレサラダ。型を抜くと現れる美しい層に、各調理台から喝采が上がりました。

 
ちょっとしたアイデアやフランス料理ならではのポイントにも言及。日常の料理にも応用できる知識を受け取ってもらいたいという、総料理長 柏木の思いが言葉の端々から感じられます。
 
フリカッセに入れる生クリームは少しだけ残しておき、最後に加えることでフレッシュさが活きる仕上がりに。

 

どの班もおいしそうに出来上がり、お待ちかねの実食タイム。今回のテーマに合わせてセレクトした白ワインについて、総料理長 柏木がレクチャーします。前菜のタブレサラダには「ワインメーカーズ・ノート シャルドネ アンドリューピース」、メインのフリカッセには「シャトー・ラコサード・サン・マルタン トロワ・ムーラン」を用意しました。
 
九条ねぎと帆立貝のてっぱい風タブレサラダ。九条ねぎの青い部分を茹でてからピューレにし、てっぱいソースと一緒にクスクス、カットした帆立貝、九条ねぎの白い部分、茗荷を混ぜ合わせます。

 
「タブレサラダに合わせたワインは、酸味があって爽やかな味わいです。よく冷やしておりますのでキリッとした口あたりが楽しめます。少し口に含んでから、料理を召し上がってみてください。そのあとにまたワインを飲むと、違った印象に変わると思います。」
ワイン単体で飲むより、料理を合わせた方がワインのおいしさをより感じられる…まさに、ペアリングの醍醐味が伝わる瞬間。サラダにのせた帆立貝の甘みもよく感じられます。
 
各テーブルへワインを注いで回ります。

 
さらに、ワインのマナーに関する知識についても語ります。
「ワインは、チン!とグラスを合わせて乾杯することはありません。少し傾ける感じでしょうか。また、ワイングラスを回して香りを楽しむ様子をイメージされると思いますが、その際は自分の方に回してください。(向かい合う相手に)ワインが飛んだりしないためです。」
鶏肉のフリカッセ(フランス風鶏肉のクリーム煮)。鶏肉はじっくり焼き上げ、鍋底に残った肉の脂ごとソースに溶け込ませることで濃厚な味わいに。

 
続いてメイン料理のために注がれた白ワイン「シャトー・ラコサード・サン・マルタン トロワ・ムーラン」は、セミヨンとソーヴィニヨン・ブランという2種のぶどうを使った一杯です。
「前菜の白ワインよりも甘みがあり、クリームの濃厚さにぴったり。ご用意した2杯は、[ホテルグランヴィア京都]で提供しているワインになります。ちなみに、コンビニエンスストアで買えるものも味見しました。タブレサラダには『ヨセミテ・ロード シャルドネ』、フリカッセには『クルールドシュッド シャルドネ』がおすすめです。どちらも安価で手に入りやすいので、ワインの入口にぴったり。“日常でワインを楽しむ=デイリーワインで基準ができる”につながるので、色々試して自分好みを見つけてください。」

普段づかいしやすい身近なワインも、相性のいい料理と組み合わせることでランクアップ。グラスを傾けるほど深まる味わいに、参加者の皆さまの表情もほころびます。

「ペアリングは難しいものではありません。いつも飲むビールのように、自分のベースを持っておくと食事が楽しくなるのでおすすめです。ホテルではソムリエに相談していただければ、よりペアリングの魅力を感じていただけると思います。」
 
お酒が飲めない方にはノンアルコールドリンクを用意。爽やかなノンアルコールスパークドリンク「デュク・ドゥ・モンターニュ」、すっきりしたノンアルコール白ワイン「ヴィンテンス・シャルドネ」が並び、思わず「おいしい!」と声が出てしまうほど好評でした。

 
「こんなに素敵な料理が作れるなんて幸せです。」「次の教室の開催が楽しみ!」といった、参加者の皆さまからのうれしいお声も。

 
終始和やかな空気で教室は幕を閉じました。登壇した3人のシェフも、充実の表情を浮かべます。
「疑問点が新鮮で、僕らには当たり前だったことが家庭料理としては新しいことだったんだと気付くことができました。」(宴会料理長 河本)
「調理中も楽しそうで、おいしそうに食べてくださっていました。普段はお客様と直接お話しする機会が少ないので、参加者の皆さまから感想をお聞きできて本当にうれしかったです。」(『コトシエール』副主任 伊藤)
総料理長 柏木(写真右)が提案する、料理とデイリーワインの楽しみが詰まったひとときに。以前の教室で講師を務めた宴会料理長 河本(写真中)と、『コトシエール』副主任 伊藤(写真左)がアシストしました。

 
総料理長 柏木は「皆さま本当に熱心で、家でも作ってみたいと言っていただけてうれしかったです。つくることがお好きな方がいらっしゃる一方、生活の中で必要にかられて料理をする方もいると思うんです。私たちがお客様のことを思って料理と向き合うように、大切な人を思って食材を選び、調理をすることの喜びを感じていただけるお手伝いができていたら」と、料理をするのは誰かを思う行為であることだと改めて実感しながら、確かな手応えを得る機会になりました。

シェフとお客様が共に調理台に立ち、[ホテルグランヴィア京都]の地産地消への思いや食材へのこだわりを、ペアリングを通して直接お届けすることができた料理教室。次回はどんな京都の食材や食文化を反映したメニューが登場するのか、どうぞご期待ください。


 

レストランをお選びください

レストランをお選びください
  • 鉄板焼 五山望
  • ビュー&ダイニング コトシエール
  • ゲストハウス 塩小路楽粋
  • 和食 浮橋
  • 京懐石 美濃吉 竹茂楼
  • カフェレストラン ル・タン
  • 天婦羅処 京林泉
  • 中国料理 六本木樓外樓

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