【第3弾】伏見稲荷大社編 ~稲荷山の凸凹地形に潜む、元祖・聖地たる由縁とは!?~
伏見エリア
第18回サライ大賞 サービス・企画部門 受賞
全国に約30,000社あるといわれる「お稲荷さん」の総本宮「伏見稲荷大社」。
朱塗りの鳥居が並ぶ「千本鳥居」の風景はあまりに有名で、今では世界中から参詣者が訪れます。
伏見稲荷大社の境内は約26万坪!(約87万平方メートル、因みに甲子園球場の約22倍)
京都盆地の東部を区切る、南北12キロに及ぶ36の山々の総称「東山三十六峯」の一番南に位置する霊峰・稲荷山が大部分を占めています。
今回、梅林さんが注目したのはこの「稲荷山」。
「清少納言も参詣した稲荷山。"お山する"ということ以外に、地学的観点で見てもかなりおもしろい場所だと思います」
と、グラマニア第3弾の街歩きツアーがはじまりました。
① 本殿周辺 ~多種多様な社殿建築~
京都市内の気温が39度を越えニュースにもなった暑い暑い夏の日。
3日後に控えた本宮祭の宵宮祭における「万灯神事」のために、境内のいたるところで提灯の飾り付けがなされていて、より一層賑やかな印象でした。
梅林さんのトレードマークであるリュックも、朱塗りの楼門の雰囲気にぴったり。
- 梅林
- 「1589年、秀吉によって寄進された楼門ですが、100年後西側に約10メートル移築してるんです」
あのときは市電の開通でしたが、伏見稲荷大社で何があったのか⁉ その答えはぜひ、ツアーで梅林さんから聞いてみてください。
まずは本殿へ。
- 梅林
- 「一、二、三、四、五……計五間。本殿が大きく華やかですね。社殿に装飾がつきはじめるのは室町時代の頃からなんです」
- 梅林
- 「母屋、廂、孫廂。祈る参詣者に対して“おいでおいで”と招いてもらっているように思えますね」
② 千本鳥居 ~稲荷山への聖なるアプローチ~
- 梅林
- 「社殿のいろんな造りが一同に介していますね。これは神明造、これは春日造……。あ、こちらは流造だ」
朱色は、魔力に対抗する色ともされていて、古代の宮殿や神社仏閣に多く用いられている色。
ちなみに伏見稲荷大社では、稲荷大神様のお力の豊穣を表す色、と説明されており、社殿や千本鳥居の朱色は伏見稲荷大社独特のもので「稲荷塗」と言うのだそう。
- 梅林
- 「伏見稲荷大社は境内に桃山断層が南北に走っていますが、その断層崖を上った瞬間、千本鳥居がはじまるのがおもしろいですね。
断層崖をのぼった先は、もしかすると“この世”じゃなかったのかもしれません」
現在では、お山の参道全体に並んでいるものも含めると約1万基の鳥居が奉納されているのだとか。
鳥居奉納について気になる方は問い合わせてみてください。
- 梅林
- 「千本鳥居の内側にいると、鳥居の外の景色を全く感じない。
鳥居をくぐっているうちに時間と空間を飛び越えてどこかへ運ばれている感じと言うか……。
そして運ばれた先に「奥の院」がある。千本鳥居にはきっとそういう役目もあったんじゃないか、と思います」
そして、梅林さんもガイドで登場する「ブラタモリ」の伏見編でスタート地点となった奥の院(奥社奉拝所)へ到着しました。
奥の院とは、稲荷山を遥拝するところ。
山麓のご本社に近い峰から順に三ノ峰・二ノ峰・一ノ峰と称し、三ノ峰と二ノ峰の中程に間の峰、そして三ノ峰の北方に荒神ヶ峰と連なっていく「稲荷山三ケ峰」は、ちょうどこの社殿の背後に位置しています。
- 梅林
- 「境内から、奥の院から、そしてお山の中で、と、稲荷山をいろんな方法で、都度都度祈ることができる。
この拝礼の感じって独特ですよね」
と梅林さん。
祈りのために何段階にもアプローチが用意されている……
このホスピタリティが、もしかすると稲荷信仰を全国各地に広めた秘訣なのかもしれません(あくまで個人的見解です)。
③ お山する ~清少納言も歩いた祈りの路~
まさに清少納言も詣でた「お山する」は、麓から山頂まで約1.5km、約2時間の行程です。
- 梅林
- 「パワースポットにパワーもらいにいこー!っていうミーハーさは、ここにはまったく通用しないですよね。
むしろ、気合いを入れなければパワーを奪われてしまう気がします」
そして第一段階の目標と定めた「四ツ辻」の少し手前で、梅林さんのテンションが急にアップ!
- 梅林
- 「あ!チャートだ!チャートが隆起してますね!」
チャートとは堆積岩の一種のこと。
京都の山々をつくっている岩盤の多くは丹波層群とよばれる堆積岩で、硬いチャートは侵食されにくいため山頂を作り出したと考えられています。
四ツ辻へあがる最後の急な傾斜の間も数mの厚さできれいに褶曲したチャートが見えており、さらに四ツ辻では大きなチャートが!
四ツ辻では市内を一望する絶景を満喫できるのですが……
梅林さんは「これこれ、これを見たかったんですよ」と、下を向いて足元のチャートの観察を……。
ちなみに稲荷山では、参道の途中に茶屋が点々としていますが、この四ツ辻にある茶屋は某有名俳優さんのご家族が経営されています。
ここで一区切りなのか、引き返す参詣者も多いのですが我々は先に進みます。
眼の病が良くなる、先見の明・眼力を授かるご利益があるとされ、商売人・企業経営者・相場関係者らから厚い信仰を集めています。
思わず全員がカメラを構えた手水は、稲荷山から駆け下りた狐をイメージしているそう。
そして、ここでは無料でおみくじをひくことができ、一同大盛り上がり!ちなみに梅林さんは末大吉でした。
ここは三つの峰の渓谷が集まり一ノ峰、二ノ峰、三ノ峰を拝する要の場所で、往古はここに御饗殿(みあえどの)と御竈殿(みかまどの)があり三ヶ峰に神供、つまり食事を差し上げる場所だったと伝えられています。
現在は祈祷殿で、毎日朝夕に神々へ食事をお供えしているとのこと。
- 梅林
- 「神々への給食というか、配食サービスですね。すごいなぁ」
今回は、そのうちのひとつ「薬力滝」へ。
滝の周辺には、そこはかとなく神秘的な空気が流れています……。
- 梅林
- 「これはすごいですよ。感動しますね。稲荷山に行場があったとは!
この稲荷山っていうのは、古くから多くの人の祈りが蓄積され、今も進化し続けている場所と言っても過言ではないかもしれません」
- 梅林
- 「山を歩くというだけで非日常ですが、稲荷山はそれを上回る、非日常を越えた“異空間”です。
地形と地質の境界が、境内の結界の分節とうまく一致していて、歩く呼吸がそのまま祈りの抑揚に結びつくようでした」
1300年以上守り続けられている「神様と自然と人とが共生する社叢・稲荷山」、ぜひ梅林さんと一緒に体感してみましょう。
※なお、本ツアーでは参加者の体力やご希望に応じてコースをアレンジします。
このツアーガイドをしてくれるのは
京都高低差崖会崖長
梅林 秀行
京都高低差崖会崖長。NHKテレビ番組「ブラタモリ」準レギュラー。著書に『京都の凸凹を歩く』1&2巻(青幻舎)。「まちが居場所に」をモットーに、まちの日常と物語から生まれたメッセージを大切にしている。趣味は銭湯へ通うこと、おいしいくるみパンを探すこと。